令和6年の上げ馬神事について

本年の多度大社例祭神賑行事(上げ馬神事)の斎行について、昨年の祭馬の殺処分に端を発し、その後第三者の外部委員による検討会(多度大社上げ馬神事在り方検討会)での検討を経た提言を受け、今般当該神事の主催者と定められた多度大社御厨総代会において提言に基づいた改善事項を策定し、先に公表いたしました。これに併せ、昨年三重県教育委員会より発出された改善に関する勧告についても、去る 3 月 25 日に回答書を提出いたしました。改めて昨年の事故に真向かうとき、真摯な反省に立って本年の神事斎行に努めなければならないと、多度大社御厨総代会始め祭事関係者一同その覚悟を新たにしております。いよいよ本年の上げ馬神事を斎行するにあたり、今回の改善策の中でもとりわけ重要と位置付けられる祭馬の馴致が終了したことから、前回の公表以降決定された改善事項について、広くお知らせいたします。

今般決定された改善事項

・観客の視点に立ち、社会通念上広く受け入れられる神事とする。
・改善内容等については、逐一公表し、新たな意見等が寄せられた場合は、改めて検討し対応していく。
・最終的な方針決定に当たっては、実際に神事を行う世代の意見を十分に聞く。
・今後は祭事関係者により当該神事当日に(両日の乗込に先立って)「総見」を行ない、今回議論し決定した内容で正しく整備されているか否かを確認する。

前回決定した改善事項の細則及び追加決定事項

(前回公表した決定事項に関連するものについては朱記にて記載)

・神事で馬を取扱う者全員に、今回の改善策や馬の適切な取扱いに関する講習会を受講させ、馬への暴力や威嚇する行為は一切行わないよう厳しく指導すること。
・講習会を受講していない者、取り決めた事項を守れない者は馬場への立入と馬の取扱いを禁止すること。
・実際の奉仕に際しては、「多度大社上げ馬神事斎行における申し合わせ事項」に基づき誓約書の提出をもって可能とすること。

上記講習会及び誓約書を提出した祭事関係者には自己の半纏に貼付する受講修了証を付与する。この受講修了証の発行を受けた者といえども、神事の円滑な斎行に支障となる祭馬への不適切な行為に及んだ場合、多度大社御厨総代会の定めるところにより直ちに半纏を当該区長が回収し、奉仕者としての資格を失うとともに、これ以降奉仕させないこととする。

・楠廻りの行事は、馬を走らせず、曳馬にて行うこと。
・坂を上らなかった馬を、正面の階段から境内に上げることは取りやめること。 (祭馬の安全を考慮し、曳き馬で境内に至ることとする)
・万が一の負傷に備えて、神事中は上げ坂付近に獣医師と馬運車を待機させること。
・騎手が坂上げに臨む際に携行する鞭については馬術用の鞭とする。(なお、鞭祭において神社に奉納する鞭、神輿還御に際し捧持する鞭については従来通りとする)
・騎手が坂上げに臨む際にスタート地点に入る祭事関係者は 6名までとし、中間縄を離した後は、祭馬が停止した時点及び騎手以外の者が馬体に触れた時点でその地区の坂上げは曳き馬をもっておこなうこととする。
・監視委員会の委員については、取り締まるべき行為の認識を統一するため、事前に動画等を用いた研修会を行うこと。
監視委員会の規約および内規を見直し、従来自己の地区のみ監視に当たっていたものを自己の地区のみならず広く神事斎行中の事がらについて監視することとする。
・従来の講習会は実際に馬を取り扱う各地区の青年会を中心とした、若年層を対象とした基本的な操馬法等を中心としたものであり、今後開催する講習会では過去の問題とされる上げ馬神事の動画を事前に祭事関係者(当該神事に携わる者すべて)に閲覧させ、どの行為が威嚇に該当するかの周知徹底に努める。
・今般新たに「多度大社例祭神事斎行における申し合わせ事項」を定め、さらなる改善に努めること。
・走路に祭事関係者が並ぶべきか否かについて検討した結果、祭馬が安全に走行することを補助する観点から、両側に列立することとする。

【ご参考】

 令和 5 年までに策定された祭事関係者遵守事項

・平成 23 年に策定された「多度大社例祭神事斎行における細則」の遵守
・奉納団体である御厨総代会を中心に、伝統に基づき受け継ぎ伝えられた上げ馬神事の斎行に意を用いること
・過去に指摘を受け改善の途上にあった点について、祭事関係者をはじめ関係機関との協議事項の厳守に努めること
・動物の愛護及び管理に関する法律に鑑み、三重県及び桑名市の関係機関のご指導を仰ぎ、上記神事の継承と各法令の順守を以て奉納行事 である上げ馬神事の質の向上に努めること
・昨今の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に引き続き留意し、政府及び自治体の進める施策に準拠しつつ、祭儀の斎行に努めること