多度大社例祭神事略解
●5月4日(前日祭)
1.例祭前日祭(午前8時)
宮司以下神職が両宮の大前で祭典を奉仕する。
2.騎手(祭馬)乗込(午前9時30分)
1 地区の人等に守られた騎手は馬に乗って齋宿を出発し神社の馬場に向かう。
2 祭馬は1地区3頭宛であるので各地区とも2頭は空馬で騎手の後に従う。
3 馬場に到着後直ちに神社に向かって馬場を走らせる。
4 神社の馬場に向かう途中で小山・戸津・多度は合流する。同様に北猪飼・猪飼・力尾も合流する。
3.馬場乗(午前11時頃から)
1 6地区の乗込が全部終わって少憩の後、各地区の馬が(騎手が乗り)3往復する。(時間の都合で回数を増減する。)
4.坂爪掛(午前11時30分頃から)
1 上げ馬を行う6地区から代表が出て、築いた坂の一部を青竹でけずり馬の駆上り易いようにする。
5.上げ馬(午後1時頃から12回)
1 6地区が2回宛行う。
2 1回ごとに祭馬は替わるが騎手は変わらない。
6.須賀馬場乗込及び馬場乗(午後4時頃から)
1 上げ馬(12回)が全部終了してから楠下で騎手(6人)と神職が盃を交し、お祓いをうけ列次を整えて須賀の馬場(多度駅の東、お旅所のある所、神社から凡そ3 km)に乗り込む。
2 須賀の馬場で6地区それぞれ遅道3度、駈3度宛馬を走らせる。この日の騎手の服装は小袖(和服)の上に裃を著け、太刀を佩き陣笠を冠る。
7.騎手宮籠り(午後9時30分より)
1 6地区の各騎手が神社に参集。騎手の謹製した鞭を神社に納め神職と盃式を行う。各騎手、神社で一晩お籠りをする。
●5月5日(本祭)
1.御例祭(午前6時)
1 両宮大前で行う。6地区の騎手は早暁、御手洗川で沐浴して心身を清めて祭典に参列する。
2 神児・騎手・弓取が正装で参列する。氏子や崇敬者が多数参拝する。
3 騎手は祭典後、各齋宿に戻る。
2.発騎途中の弦打
1 騎手は齋宿を出発してから神社に到着するまでの途中、所定の場所で古例により馬上で弦打をする。
3.神児・騎手(祭馬)乗込(午前10時30分頃)
1 小山・戸津・多度地区の乗込は前日と同じ。
2 神児は北猪飼・猪飼・力尾の騎手と隔番で盃を行い、共に乗り込む。
4.馬場乗(午前11時30分頃から)
1 4日に行ったのと同様。但し回数が6地区各2回宛
5.神児迎え式(午後1時頃より)
1 神社の使が金幣を捧持して馬場を前進してくる神児を迎える作法を7度半繰り返す。
2 神児迎式には各字代表6人の警固が立会う。
6.上げ馬(午後2時頃より6回)
1 神児迎えの行事が済み、神児の赤い傘が閉じられると直ちに1番目の祭馬(花馬)が馬場を走り出し上げ馬が始まる。
2 この瞬間が神事のクライマックス。
3 この神事に関係する人は神事のことに精通熟練したものが関わる。
7.神輿渡御(午後4時頃)
1 上げ馬が終わり神輿が出るまでに凡そ半時間を要する。(この間、楠木廻りの行事あり)
2 御旅所への行列の列次
神児・榊・大幣・金幣・神宝(童子が捧持)神輿・宮司以下職員・総代・騎手及び弓取(乗馬)
3 御旅所に到着するまでに途中で古式による諸行事がある。
8.御旅所祭典
1 船着社での祭典と御旅所での祭典とがある。
9.やぶさめ
1 神の的と称し御旅所に駐輩中の神輿の前で小山地区の騎手だけが騎射を勤める。
2 6地区の騎手がそれぞれ3回宛騎射(馬に乗って弓を射る)
10.神輿還御
1 御旅所から神社へ戻る。
2 列次は往の反対(但し、神職は神輿の後となる)
5日の騎手の服装は花笠を冠り、行縢をはき、具足の上に大紋をつけ箙を負う、弓取は陣笠を冠り小袖の上に裃を着け太刀を佩く。
神児の出る地区 肱江
騎手の出る地区 小山・戸津・北猪飼・猪飼・力尾・多度
(馬順は毎年輪番)